プログラミング

改正プロバイダ責任制限法の影響とVPNの有効性

本日2022年10月1日より、「改正プロバイダ責任制限法」が施行されます。
これにより、ネット上での誹謗中傷等の書き込みに対する開示請求がより容易となります。
当記事では当施行による影響とプライバシー上の問題点、それに対応したVPNの必要性について考えます。

改正プロバイダ責任制限法とVPN

近年はツイッターやニュースメディア、2ちゃんねる掲示板等の誹謗中傷の書き込みにより、被害者が心に深い傷を負ってしまうような事例が増えています。
誹謗中傷の書き込みは人の生活や人生にも多大な影響を与えますが、最悪の場合、人の生命にも影響を及ぼしうる卑劣な行動です。

そのような事例の増加と顕在化により、以前より法改正が進めらており、当記事執筆日現在10月1日より、誹謗中傷への対処を強化した改正プロバイダ責任制限法が施行されることとなりました。

この法律は良いものだと思われる方が多いでしょう。私自身も大きく賛成しています。
しかしどのような良い物事にも、副作用としての側面はついて回るものです。

この法律が前述のような卑劣な誹謗中傷等に対し開示請求をするために善用されるだけなら全く問題ありません。
しかし、これを悪用しようとする人もどうしても出てしまうだろう、と予想するのが私や一部のインターネットユーザー、一部の専門家の意見です。

このような一種の権利濫用によるプライバシーの危機から自身を守るために利用できうるとされるのが、NordVPN
をはじめとする「VPN」(バーチャルプライベートネットワーク – ウィキペディア(Wikipedia))です。

VPNではインターネットサービスプロバイダーを迂回し、他の国や地域からウェブサイトにアクセスするような操作をパソコン・スマホ上で可能にします。

そのため、VPNは多くの場合、特定の国からはアクセスがブロックされ見れないウェブサイトや動画にアクセスできるようにしたりする用途に多く使われ、その用途が多くのユーザーに認知されています。

VPNはその性質上、ウェブサイトにアクセスする際のIPアドレスに変更を加えます。
それにより、副次的に、プライバシー保護の道具として利用される機会もあるとされています。

では、このようなVPNを使うことでインターネット上で完全に匿名で投稿することができるのか、と言うと、答えは「いいえ」です。

VPNの匿名性と誹謗中傷

多くのVPNサービスは、プライバシーは保護されインターネット上で匿名に活動できることを売り文句としています。
しかし、情報機関の捜査や、法律に基づく警察の捜査や司法の指示がある場合にはそれに従い、必要な情報の提供等の協力を行う、といった例外の条件付きです。

これらの条件は各VPNサービスの利用規約やプライバシーポリシーの項目等に記載されています。
VPNの代表例であるNordVPNを例に取ると、NordVPN
からトップページに行き、ページの一番下にスクロールをすると「ご利用規約」という項目があります。

NordVPNの利用規約とプライバシーポリシー

つまり、VPNそれ自体には匿名性は確かにあります。
ただし同時に、もし重大犯罪等が起きれば警察は何もできず被害者は泣き寝入り…といったことにはならないような仕組みが成り立っていると言うことです。

ネット上の問題は近年数多く顕在化してきており、各国の法整備も対応を急を要する事態となっています。
誹謗中傷等の問題も認知されていないものも含め多くの事例が潜在的に存在し、実際の被害者も出ていることから、これらの対応と関連法令の整備、また、人々の正しい理解と認知も当面の課題です。

本「改正プロバイダ責任制限法」の施行がよりよいインターネットの未来に繋がることを切に願っています。


免責事項: これは個人の知識と考察による記事であり、情報の正確性を保証するものではありません。最新の法律の理解には必ず政府の法令データベース等の一次情報を参照し、有事の際には弁護士等専門家・専門機関への相談を行ってください。

改正プロバイダ責任制限法の影響とVPNの有効性” への2件のフィードバック

  1. 拝読しました。興味深い内容です。利用規約を読むことは中々ないので参考になる視点でした。

  2. 八代さま、ありがとうございます。利用規約やプライバシーポリシーを読む機会はあまり持てませんよね。
    今まで許可されていたことが禁止になったり、反対に今まで禁止だったことが許可されしてもよいことになる、といったルール変更は利用規約に追加されますから、興味のあるウェブサイト・サービスの利用規約はフォローしてみるのも面白いかもしれませんね。

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